第56章 主権を宣誓する

「俺が、頭おかしいって?」

黒谷優は鼻で笑うと、大股で詰め寄り、南坂海乃の腕を乱暴につかんだ。そのまま野口颯汰の傍から引きはがし、力任せに引き寄せる。

「そうだよ、狂ってる! 自分の妻が、ほかの男にもらった腕輪をつけて、その男と一緒に帰ろうとしてるのを見たら……狂わないほうがおかしいだろ!」

「黒谷優! 痛い、やめて!」

海乃が身をよじる。

「放せ!」

野口颯汰も堪えきれず一歩踏み込み、海乃を取り戻そうと手を伸ばした。

「黒谷社長、自重してください! 海乃は今、俺の彼女です。あなたのしてることは迷惑行為――」

「彼女?」

黒谷優はとんでもない冗談でも聞いたみたいに、くっと喉...

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